「お前はそれで良くても……ヒロの気持ちはちゃんと考えたのか?」

そのタイミングで先生が私の名前を呼ぶ。私は答案を受け取ってから自分の席に着いた。

数学は90点だった。


「ヒロの気持ちなんて……私にはわかんない」

そんなつもりはなかったけど、結果的に私は大嶋に嘘をついたんだ。


自惚れとかじゃない。きっとヒロは私を好きだと思う。

だからといって確信しているわけでもないんだ。


それも全部が私の予想だし、ましてやこの先のマナやヒロのことなんてわかるはずもない。

結局今だって、私は何をするべきなんだろう。


大嶋だって言ってたじゃん。ヒロと同じ人を好きになったら勝ち目がないって。


私もマナが相手だと勝ち目はない。だから自分が傷つかない方法を考えただけなのに。

ヒロだってきっと心配はいらないと思う。だってマナのことを好きになったら、私のことは忘れるだろうから。