私は布巾を2枚持ってきた。大樹が何も言わずにそれを横どる。

「マナ、大丈夫か?これで服拭けよ。床は俺が拭くから」


「ありがとう、ごめんね」

マナとのやりとりなのになぜか私の方がきゅんとしてしまう。


こんな大樹を見るのは久しぶり……

私は目の前の大樹と出会った頃の大樹を重ねていた。


そうだった。大樹は優しいだけではなく、男らしく私のことを引っ張っていってくれていたっけ。

彼のそういうところに惹かれていたことを、私はこの瞬間に思いだしてしまった。


そして改めて思い知らされたこともある。

大樹はもう私に対しての感情は全くと言っていいほど残っていないこと。

だって今の私には冷たくて面倒くさがりで、自分勝手な大樹しか見せてもらっていないから……