マナもあからさまに彼らをあしらう様子もなく、純粋に飲み会を楽しんでいるようだ。

すっかりご機嫌になった大樹は、その達者な口でマナを笑わせようとしていた。


一方私の方は本田さんと話をしているけど、お酒が回った頭の中では『友達止まりかな』なんて考えている。

「あっ」

遠くのおかずを取ろうと腕を伸ばしたマナが、自分の袖で缶ビールをひっかけてそのまま床にこぼしてしまった。


「ごめん!カーペット汚しちゃって……」

「古いカーペットだから大丈夫。それよりマナの服は大丈夫?」


ここで意外にもすぐに動いたのは大樹だった。

「灯里、布巾ってどこにあんの?服も床も早く拭かないとシミになっちゃうだろ」