『私にとって感情は理解しがたいものです。嬉しいという感情から連想されるのは大抵、笑顔などのプラスのものです。』

肯定しているかのように彼はうなずく。

『ですが、人は、嬉しいときにも泣きます。所謂、うれし泣き、です。』

またうなずいて、彼は言う。

「うれし泣きは、嬉しいという感情が溢れ出しすぎて表情では表せなくなり、それが涙になっているのではないかと思うんだけど…」

少し間を空けて彼は言った。


「こうやって改めて考えてみると、確かに感情は理解しがたい。というより、理解することは出来ないんじゃないかな。」



そう言われ、彼女は少し考える

『そうですね。確かにそう考えてしまえば、理解も何もない、シンプルで良いです。』