私、渡邉聖(わたなべ ひじり)は、県下で名を轟かせている暴走族「椿鬼(つばき)」の姫であった。
過去形で表現しているのは、私は裏切り者の烙印を押され、断罪されているから。
副総長の相良真琴(さがら まこと)の妹・相良みちるを虐めた罪を犯したのだ。
みちる曰く、私は、真琴の妹としてちやほやされる彼女が気に食わないと陰で彼女に暴言を吐き、服で隠れる部分に暴力をふるったらしい。
私は何一つやっていないと、何度も否定したが、誰も彼も私の言い分を聞き入れようとはしなかった。
「椿鬼に裏切り者はいらない。さっさと俺達の視界から消えろ」
総長で私の彼氏桜葉時雨(さくらば しぐれ)も例に漏れず。