そして、誰もいない廊下に来て、誰もいないはずなのに言葉を発した姫華。




「盗み見とは、悪趣味ですね。鷹ノ瀬俊也さん?」


俊也の名を口にした姫華。




呼ばれた俊也は静かに出てきた。



「信のやつ、俺の名前教えやがったのか。つか、盗み見じゃねぇし。お前、信に何しやがった。」



乱暴になる俊也の口調。



「何ってキスですよ。私、信くんのことが好きなので思わずしてしまいました。」



「見え透いた嘘を付いてんじゃねぇ。」



「なんだぁ。バレてたかぁ」


いつものお嬢様口調ではなく、砕けた口調の姫華。



「やっと本性を現したな」



「まさか、転校そうそう、気付くやつがいるなんて驚いたよ。信のやつは、利用したの」



「利用しただと?」