来た道をまた勢いよく走って戻る



さっきの会話が、頭の中で何度も繰り返される






「見てたんだろ?」


「・・・あれは、隆だったの?」


「そうだよ」



深いため息と共に吐き出された言葉


「・・・言い訳とか、しないんだ」


「完璧ばれてんのに、言い訳とかできねーだろ」


苛立ち交じりの乱暴な言葉


「どうすんの?」


「・・・どうするって」


「別れるの?」







肩で息を精一杯吸い込み、吐き出しては、足を前に出す


教室の扉を乱暴に開け、帰る支度を始めた


手が震えている


息が上がって、涙がこぼれている



いきなりすぎる


一緒に帰ろうって、昼まではいつもの隆だった


なのに、いきなりあんなの・・・













「いきなりそんな、別れるなんて・・・」


「いきなりじゃねーって」





「気づかなかっただけだろ
今に始まったことじゃねーから、あれ」









震える手の先に、私が書いたウエディングブーケのデザイン画が目に入った



いつか私も結婚する時が来たら、こういうブーケがいい


見てくれた人に響くような、明るくて、元気が出るような、色の





・・・隆が好きなオレンジをベースとしたブーケ





「・・・っ!」




やっぱり私なんかを隆が好きになるわけなかったんだ



今までのは、全部嘘だったの・・・??



だったら、二年間も、




「どうして一緒に居てくれたのよ・・・!」






震える手で、デザイン画を思いっきり破ろうと力を込めた