ベットの横の窓から差し込む

柔らかい光が目の前を

ぼんやりとオレンジ色にして

白いシーツの上に

サークルの光の影を落としている

久し振りに聴く愛果の声を聞きながら

ハルはぼんやりとその光の影を見つめていた

昨日からの高熱で頭は割れる様に痛いし

体中の関節がギシギシしていて

久し振りの愛果との会話なのに

情けないことに

うーとかあーとか言うのが精一杯で

ベットの中でライン電話の受話器のマークを押すと

何だか彼女の声を聞いていたい気持ちを

抑えるのに必死だった

いつもの

穏やかで優しいその声を

ずっと聞いていたい衝動を

いつも抑えていることを

彼女は全く知らないのだ


それは真夜中のライブの終わった後の

帰り道の上や

誰もいない真っ暗なアパートに入った瞬間のことだ

平日はいつも仕事で十時には寝てしまう

愛果を起こすのをためらい

何時も電話を片手にベットの上に座り込んで

何もできない自分がいることを

愛果は全く知らないのだ

そんな事を考えながら

出社前のいつもと違う

愛果の声のトーンに少し寂しさを感じて

それが

また自分を情けなく思ってしまっていた

きっとこれは病気のせいだと

彼女との会話を終えたベットの中で

ぼんやりとそう自分に言い聞かせて

もう少し寝てしまおうと瞼を閉じたのだった