倒れたその日


昼間に覗きに来たマネージャーについ


今回のライブの中止について


探る様に確認してしまった


俺の躰を心配してくれた彼は


確認しても詳しい事は教えてくれなかった


「それより早く良くなってください。」


そう言ってコンビニの袋を差し出した


「何がいいか判らなくて自分の好きな物にしました。」


そう言ってにっこり笑う


「あとは彼女から貰ってくださいね。」


確かに野郎から


躰に良さそうなものを貰っても正直困る


その言葉に気持ちが和んだ


「助かるよ。」そう彼に言った


彼は表情を変えず


「仕事なんで。」


そう言ってにんやり笑う


「俺ハルさんの演奏好きなんで。


お陰で可愛い女の子達とも仲良くなれるし


これからもよろしお願いします。」


その言葉に俺もつられて笑った


「ハルさんが時々羨ましいです



俺も演奏とかできたらいいな



彼女に演奏してやれたら最高ですよね。」


さすがマネージャー


俺の性格を見抜いてる


俺は彼にお礼を言った


彼はそのまま部屋を出て行った


昼下がりの部屋の中


久しぶりにのんびりとベットに横になる


そんな時思い浮かぶのは


愛果の事だった


そして音楽


このどうにもならない気持ちを


音にするなら


何がいいだろう


切なくて、でも甘い曲がいい


愛果が恋しい


こんな時傍にいて欲しいのは


君しかいないから


この気持ちを言葉にすると


全て嘘になってしまいそうで


彼女に一度も言ったことはない


病気で弱った気持ちは


ベットの上で君の手を探してしまう


駄目だ



俺は両手で自分の顔を覆った


俺の両手は俺の顔に触れる為に


あるんじゃない


こんな時こそ


彼女に触れる為にある手のはずだった


こんな風に彼女を思っているだけでは


駄目なのだ