「愛してるよ愛果大丈夫だから待ってて。」


結局何もできない苛立ちが


哀しみに変わるのに時間はかからなかった


現実的にも物理的にも


今から東京に行くのはお互いに不幸になるだけだ


「ごめんハル。」


素直にそう思った


「泣くなよ。大丈夫だから。」


かすれた声のハルがそう言った


いつものちょっと上から目線の話し方が


今日はなんだかすごく嬉しい


「ありがとう。」


そう、多分今ハルに逢ったら


名古屋なんて帰りたくなくなる


その自信はある


だけど、それ以上に私はハルと幸せになりたい


心からそう思った


その為にはハルに何がしてあげれるのだろう


地下街を歩きながら考えていると


薬局が眼に入ってきた


近頃駅の周辺にドラックストアが沢山できた


食料品からちょっとした健康食品が安く並べてある


そうだ、うがい薬や健康食品ならきっとハルも喜んでくれる


「ハル、また電話するね」


そう言って終了のボタンを押すと


店の中へと入っていった