沢山の人に囲まれて


ハルの見えないステージを見ながら


注文したお酒を飲んだ愛果は


店員にお礼を言って店を出た


空気の冷たい夜の通りは


人影もまばらで


向かいのビルのクリスマスのイルミネーションが


寂しさをまぎらわしてくれた


クリスマスには東京に行こう


その時にはハルに


沢山抱きしめてもらおう


今夜の話をすると


ハルはどんな顔をするだろう


ハルの優しい笑顔や


あたたかな彼の胸を思い出し


少し顔が熱くなったのを感じた


今度の週末はクリスマスデートの


服を探しにいこう


そう思うと胸の鼓動が嬉しさで


早くなる


パンプスを履いた足の冷たさを


蹴り上げるよう


少し速足で


地下鉄の入口へと急いだ