演奏が終わったことで会場に居た人達が

一斉に動き出した

イベントをしていたお店は

勿論ハルの演奏を聴きに来た客だけではないらしく

不思議な動きの流れをつくりだした

その中で取を飾ったハルは

主催者らしき今日のイベントの司会者にマイクを向けられた

ハルは堂々と今日の挨拶をした

そんな姿もとても頼もしくて

愛果は嬉しくなった

けれど、その分ステージの上のハルと愛果の間には

沢山の人達がいて、多分ハルは愛果がこの会場にいて

ハルのことを舞台の下から見ているなんて

全く気がついていないだろう

時間がなくてハルにラインで連絡すら取れなかった


愛果は内心思っていたのだ

彼と過ごしたパームビーチでの日々

ふらりと立ち寄るお店で演奏していたハル

客は皆席に座ってステージを見ていたので

人の間から彼を見ることもなかった

ステージの上から愛果を見つけて

演奏後にハルが愛果の座る席まで来てくれた

あの時と同じ事を期待したのだ

だから今日も

ハルには内緒にしておいて

ステージの上からハルに愛果を見つけて欲しかった

今日突然ハルが名古屋に来たことが

たまらなく嬉しかったから

ハルにもその気持ちを味わってもらいたかったのだ