ハルの演奏するライブハウスの前は

歩道に人が集まっていて、楽しそうな雰囲気に

包まれていた

車の行き交う道路挟んで向かい側のビルは

クリスマスのイルミネーションで

明るく輝き、歩道の上で楽しそうに

話をする人達を明るく照らしている

愛果はその人達に近づいた

お店の入口の扉は大きく開かれ

そこから演奏が漏れ出していた

足元を音が流れて行く

立ち止まり話す人達をよけて中を覗くと

暗い店内の奥に少し低めの舞台が見えた

舞台を照らす照明に舞台の上に立つ人がぽっかり浮かんでいた

ハルだった

金色に光るサックスを無心で演奏している

額には汗がにじんで動きに合わせてきらりと光った

満員の店内の入口に立ち

彼を見つめた

ツアーが始まって忙しくなり全く会っていなかった

三か月ぶりのハルだった

髪が少し伸びてウェーブが掛かった髪が

リズムに合わせてサラサラと揺れる

隣りに立つ二人ずれの女性客がハルをみて

演奏について話している

目の前の席に座る人達はラジオの話をしていた