「カッコつけないでよ。

どうして自分ばっかり戦うの?

私たちの運命は一緒でしょ!」




「気が強くても、凛子は女だ。

体力は落ちるだろ?

一緒にリアルな世界に帰りたいから、オレは凛子に言ってるんだ」




「でも……」




炎に焼かれたゾンビたちが、ものすごい悪臭を放ちながら、少しずつ階段を上り始めていた。




「一緒にリアルな世界に帰るって、約束しただろ?

だったら、行けよ!

オレたちの約束を守るために!」




「バカだよ、蒼太は。

本当にバカだよ!」




私はそう叫ぶと、蒼太に背を向けて、センタービルの階段を上り始めた。




聞こえてくるゾンビたちのうめき声。




焼かれているゾンビたちの悪臭。




命をかけて、私を守ろうとする蒼太。




そのすべてが私には悪夢だ。




絶望が支配するこの『ゾンビ街』から、私は早く抜け出さなくちゃ。




私は自分の未来をこんな場所で終わらせたくないから……。