「逃げろ、凛子!」




蒼太がそう叫んで、私の手を引いた。




あの海斗が私たちを襲ってくるなんて、本当に悪夢だ。




どうして私たちは、仲間同士で傷つけあっているのだろう?




私たちは、今来たばかりの道を後戻りし、ゾンビに姿を変えた海斗から必死に逃げていた。




「蒼太、海斗があんなになっちゃって、私たちはどうすればいいの?」




「そんなの、オレにもわからないよ」




そう言った蒼太の声が震えていた。




「海斗がゾンビになるなんて、本当に悪夢だよ。

信じたくない……。

でも、きっとオレたちは、もう後戻りはできないんだ」




私たちが向かっている先から、ゾンビたちのうめき声が聞こえてきた。




私たちはそのおぞましいうめき声に反応して、思わず立ち止まる。




すると、廊下の突き当たりの左右から、ゾンビたちが群れをなして現れ、私たちに迫っていた。