「凛子、こんなところにいたのかよ。

どうした?

一人で部屋の中にいるのが嫌だったの?」




私が蒼太の声に振り向くと、そこには優しい笑顔を見せる蒼太がいた。




私はそんな蒼太の顔を見つめて思う。




蒼太はいつだって、私の気持ちを一番にわかってくれるよね。




私は、ずっと前からそのことに気づいてた。




でも、蒼太の優しさを素直によろこべない私って、やっぱりかわいくない。




本当は私だって、蒼太に好かれたいのに……。




「別に部屋の中にいるのが嫌なわけじゃないよ。

ただ、星がきれいだから、外に出てみたかっただけよ。

蒼太には、そういう乙女心が少しもわからないと思うけど」




私はそう言うと、蒼太から目をそらし、きれいに輝く星を見つめた。




もしもここが、『ゾンビ街』じゃなくて、私たちがいたリアルな世界なら、
蒼太と星を見上げる今夜は、本当に素敵な時間だったはずなのに……。