「美紗さんは、ずっとこの『ゾンビ街』に住んでいて、この場所から離れないわけだから、
美紗さんにとってのリアルは、この『ゾンビ街』ってことなんですか?」




私は蒼太が美紗に言った言葉にハッとした。




そうだ、私たちにいつも優しくしてくれる美紗さんのリアルって何なんだろう?




私はその答えを知りたくて、美紗の顔をじっと見つめた。




「私はこの『ゾンビ街』が私の世界のすべてだって思っています。

私だって、この『ゾンビ街』がドリーム社によって作られた架空の世界だってことは知ってます。

でも私は、この世界でしか生きられないから、あえてこの世界を否定しようとは思いません。

私にとっては、あなたたちが住んでいるリアルと呼ばれる世界が架空の世界です」