私は食欲がなかったけど、蒼太に勧められて、目の前にあるスープを飲んでみた。




すると、全然、食欲なんてなかったはずなのに、その濃厚な味のスープはとてもおいしくて、私は少しだけ元気が出たような気がした。




「蒼太、美紗さんの料理って、おいしいね」




「うん、この料理もまるで夢みたいだよ」




「だけど、この料理はとっても良い夢だよ。

こんな夢ばかりだったら、私たちは夢の世界を楽しめるのに……」




ドリーム社は自社製品の開発によって、私たちから現実と夢の境界線を取り払った。




だから、つらい現実から目をそらしたい人は、夢の世界に逃げ込んでいった。




作られた夢の世界は、私たちに素敵な幻想を見せてくれていたから。




でも、『ゾンビ街』は違う。




この夢は、ドリーム社が作った最悪の世界だ。




私はこんな世界を作ったドリーム社と戦いたい。




ドリーム社は、絶対に間違ってるって……。