「瑞穂、大丈夫よ。

この部屋には、きっと解毒剤があるはずだから」




麻美は瑞穂の肩を抱きかかえながら、次の部屋に来て、瑞穂に言った。




「麻美さん、ごめんなさい。

私、もう立ってられません」




「瑞穂……」




麻美はそうつぶやいて、弱りきった瑞穂を見ていた。




瑞穂はもう、ぐったりとして、目を閉じていた。




〈 瑞穂、待っててね。

私が瑞穂を助けるから 〉




麻美はそう思って、瑞穂を部屋の隅に座らせて、解毒剤を探し始めた。




〈 時間がない。

早くしないと、瑞穂が発症しちゃう 〉




麻美は迫り来る運命のときに、急かされながら、
必死になって、棚の中に解毒剤がないか探していった。




今の麻美と瑞穂にとって、ほんの数秒間が、今までにないくらい貴重だった。




〈 お願い、出てきて。

私は瑞穂をゾンビになんてしたくない! 〉




麻美がそう願いながら、棚の中をのぞき込んだとき、麻美はついに探していた解毒剤を発見した。