「瑞穂、この部屋には解毒剤がないよ。

悔しいけど、次の部屋に行くしかないよ」




「麻美さん、私……」




瑞穂は弱々しい声で、つぶやいた。




「さっきから寒くて、体の震えが止まらないんです。

頭も割れるみたいに痛いし、吐き気も収まらなくて……」




麻美は瑞穂にそう言われて、瑞穂の額に自分の右手を当ててみた。




すると、瑞穂の額はひんやりと冷たくて、血が通っているようには思えなかった。




〈 瑞穂の額が、あり得ないくらい冷たい。

どうして?

瑞穂は発症するの? 〉




麻美は、もう目前に迫っている瑞穂が発症する瞬間に怯えていた。