私たちが四階に来ても、建物の中はしんと静まり返っていた。




この『ゾンビ街』の世界は、重要な場面では必ずゾンビが現れ、私たちを襲ってきたけど、今はそんな気配すら感じなかった。




私たちは、部屋の棚の中を丁寧に調べ、必死になって解毒剤を探していた。




ゾンビウイルスをもらっている瑞穂の顔は、さらに青白く変色し、血の気を失っていた。




〈 早く解毒剤を見つけなきゃ。

瑞穂が発症するまで、おそらくもう時間がないから 〉




私がそう思って、必死になって解毒剤を探していると、部屋の入口の小窓から人影が見えて、私はドキリとした。




私はそっと息をひそめ、入口に立つ人影の正体を探っていた。




すると入口のドアの小窓から、大柄な男のゾンビの顔が見えて、私はゾッとして息をのんだ。




「みんな、ゾンビよ。

今、入口のドアの前に立ってる!」




私のその言葉で、部屋の中に緊張が走った。




「機関銃を撃てば、その音でゾンビたちを寄ってくるよ。

みんな息を止めて。

息を止めれば、ゾンビたちは私たちに気づかないから」




私がそう言ったとき、入口のドアが開き、男のゾンビが部屋の中に入ってきた。




私たちはそのとき、一斉に息を止めた。