解毒剤倉庫の中は、白一色に塗装されていて、物音が一つもせず、この建物には誰もいないかのように思われた。




「やけに静かね。

誰もいないのかなぁ?」




私は麻美のその言葉を否定するかのように、麻美に答えた。




「解毒剤倉庫は、『ゾンビ街』というソフトの中で、きっと重要な役割を持つ建物だと思う。

そんな建物が安全だとは考えにくいよ」




「凛子さん、私、寒気がして、頭が痛いです。

私、もしかして発症してしまうんですか?」




「瑞穂は絶対に発症しないよ!」




私はそう言って、瑞穂を見つめた。




「瑞穂は絶対に私たちが救ってあげる。

だから安心して。

私たちは、早く解毒剤を見つけるから」




私がそう言うと、瑞穂は涙ぐみながら、私に小さくうなづいた。