そのとき、誰だかわからない人影が、両腕を伸ばしながら、私に近づき、私の肩を強くつかんだ。




「いやぁぁぁ!」




私は、予想してない展開に目を見開き、ビクリとして悲鳴を上げた。




私の肩をつかんだのは、おぞましい顔の老婆のゾンビ。




その老婆のゾンビは、髪の毛が所々抜け落ち、瞳は片方の目にしかなく、頬は腐って、唇がない口から歯がむき出しになっていた。




「食わせろ!」




老婆のゾンビは悲痛な叫び声のように、飢えた気持ちを吐き出していた。




「食わせろ!」




老婆のゾンビは口を開き、私に噛みつこうと、首を私の方に傾けた。




〈 ヤバイ……。

どうにかしなくちゃ…… 〉



私はそう思って、咄嗟にゾンビを突飛ばして、後ずさった。




そして、後ずさりをした私の背中が壁に当たる。




私はおぞましいゾンビを目の前にしながら、その場に立ち尽くていた。