また彼も僕だけでなく、他の人の事を分ろうとしていた。
僕はよく彼の家に遊びに行く事があった。むしろしょっちゅうのようにお邪魔していたので、兄弟なのではないかと彼の家族の人達は思っていただろう。
もちろん僕だって友達を越えて、兄弟のつもりだった。だから何時も本音を言って、笑って、喧嘩しあって出来たのだ。
彼の母親の作る菓子は温かみを帯びていて美味しくて、僕の心を柔和してくれた。そんな姿を見て、にこにこしていたのはとても印象深かった。「あなた達本当に兄弟みたいね。」
「えぇ、幼馴染の友達ですから」

僕の母親は何処に行ってろうが何も口出しをしなかった。
ある日、母親に何故、心配しないのかを聞いてみた時があった。すると、僕の胸にグッとする物が突き刺さった。 
「あのね、母さんはあなたが楽しく過ごせればそれで良いと思うの。確かに家に居て欲しい時だってあるけど、少しでも人生を楽しんで欲しい。」
その眼差しはどこか温かく、これが子を見守る事なんだと思った。
普通なら僕がこんなにも外出するのを心配し、又家で一緒に過ごす時間も欲しいのが当たり前である。 けど、違った。…
この時、申し訳なさで一杯になった。本当に良いのかと。
そんな僕を見て、あなたの好きな事をやりなさいと更に言ってくれた。