学校生活は上手く進んでいた。
「おう、孝雄高校になってもよろしくな。」
「もちろんだろ。こちらこそよろしく」
彼の名は龍輝。彼とは幼稚園からの友達だから、どちらとも信頼しあっていた。
全てをとはいかないが大半は彼に色々相談したりしていた。だから、僕がこんなに今を楽しく過ごせているのも、彼が居てくれたからだ。
あの時は本当に嬉しかった。
ある時、龍輝にこんな事を言われた。
「孝雄、高校卒業したらどうするのか?」
それは孝雄にとってまだ先である言葉であった。 
僕にとって「まだ考えてないんだよ」と言うのが精一杯であった。ただ、彼が遠い存在になるのが、寂しくて、嫌だったから……

 飴を甜めてどのくらい経ったのだろうか。最初は抹茶味だったのが、マスカット味に変わっていた。
甘い味が徐々に酸味を帯びていってるのが何時も厳しい私でさえしっかりと分かった。車内の様子は見たところさっきとは変わらなかった。 だが一つ違った所と言えば、皆がお互いの性格を理解しようとしていた。