「で、でもぉ。」

「でも、じゃないよ。咲真困ってるんだから返して上げなよ。てか、返せ。」

蒼乃がキツめの口調で言った。

「気づいてないようだけど、咲真さっきからいたよ。」

「咲真くん…。」

「ほら。」

立木さんはしぶしぶネクタイを返した。

返したあと足早と廊下へ逃げていった。

咲真は返してもらったネクタイを結んだ。

「ありがとな。」

そう言って頭をぽんぽんと叩いた。

蒼乃は頬を少し赤くした。