騒めく教室。

一時間目の授業は、国語。

でも、先生の話なんて誰も聞いていない。

私の隣の席の人は、まだ登校してきていない。




(まさか、私と似た子なのかな?内気でこのクラスに馴染めなかったとか?なら、友達になりたい!話が合いそう!)




そう私は、楽しみにしていた。

チャイムが鳴り、国語の授業が終わる。

皆は、先生に


「ありがとうございました」


も言わずにいつまでも話し続けている。




(全くそんなに長く話す話題ある?私なんて、人と会話しようって思ったら3分で終わるのに…カップ麺ができるくらい)




結局4時間目が終わっても、隣の「東堂寺永遠(とうどうじはるか)」は来なかった。




「はぁ…結局ぼっちでご飯か…。いと悲し…」

「おいっ、お前!」




急に知らない男子から話しかけられる。




「はっ、はひぃっ!」




175cmは、ありそうな黒髪の男。



(わぁ…カッコイイ。イケメンだ)



「そこっ、俺の特等席なんだけど」



そう言って、男は私が今いる校庭のよく見えるベンチを指さす。



「ごっ、ごめんなさい!私、転校してきたばっかで何も知らないの…」


「へえ?…で?邪魔なんだけど、早くどけ」


「あっ、ごめんなさい!」


私は、せかせかと昼ご飯を片付ける。




「それ、お前が作ったの?」


「えっ?このお弁当?」


「ああ」


「うん。私が作ったよ?でも、下手だけどね…」


「食わせろ」


男はそう言って、私に顔を近づける。あーんと大きな口を開けて。






「えっ?」


「ほら、早く食わせねーとお前の鼻噛むぞ」





(こっこれが、お母さんが言ってた男は狼!やばい、危険だ!これ以上関わっちゃダメだ。)




「ごっごめんなさい!」



私は、男を押し逃げた。


結局あの後、ご飯を食べられなかった。


(ああ、お腹空いた)




5限目のチャイムが鳴る一分位前に、またあの男が現れた。




「あっ、お前」


「ヒッ!(なんで、この教室に来たの?!)」


男はにやりと笑った後、私の隣の席に座る。




「俺の名前は、東堂寺永遠だ。宜しくな?お隣さん」




東堂寺は、にっこり笑うが怖かった。



(えええ?!永遠ちゃんじゃなくて、永遠君?!)



「おいっ、お前の名は?」



私は永遠ちゃんが男だったことにショックを受け、東堂寺の話を聞いていなかった。


すると、東堂寺はいらだちを隠そうともせず、前の席に座っている男の椅子を蹴る。



「おいっ、お前ならこの俺の隣に座ってる女の名前わかるか?」




「めっ、珍しいね。永遠が、女子に興味持つなんて…」



「まぁーな、この俺を2度も無視しやがった女は、こいつが初めてだ。」


「そっ、そうか…彼女の名前は、佐倉ソラ。今日転校してきたばっかだよ」



東堂寺の前の席に座っている男、神奈倉智也(かなぐらともや)はそう答える。


ちなみに神奈倉智也は、眼鏡をかけたイケメンだ。


身長は、男子の平均といったような感じだ。


だが、彼は優しそうなお兄ちゃんという風貌のイケメン。



「ふーん、じゃあこの学校のルールってもんを教えてやんねーとな?」




「…永遠、ほどほどにしなよ」





「ああ、分かってるさ。楽しみだな?」