「それで、今回は何て子?」 「朝のホームルームの間に読む」 タイミングを見計らったように、体育会系の担任が教壇に立ち、チャイムが鳴り終わる頃に野球部の男子が教室の背後からこそこそと入ってきた。 担任が出席を取り始めた頃、俺は淡い緑色の封筒を開けて丁寧に二つに折られた便箋を広げる。 後ろから2列目、最も窓に近い列。 堂々とその便箋を机に広げた。