「葵様、御用でございますか?」


貴子が葵の部屋に入ってきた。


「荷造りが終わったので、その他の物は全部処分してもらえますか?」


小さなスーツケースが一つだけドアの横に置かれていた。



この部屋にある物はほとんどそのままだ。


「スーツケース一つだけですか・・・?葵様、イギリスのご住所をお教えくださいませ」


「ううん!すべていらないの・・・・紫月を思い出せる物は日本へ置いて行きたいから・・・」


そんな葵を見て貴子は悲しい顔になったのだった。