「葵ちゃん、君が死んでも紫月は喜ばないよ」


榊はベッドの端に腰をかけ葵に話しかけた。


紫月の名前に反応して葵が目を開けた。


真っ赤に泣きはらした目で榊を見ている。


「紫月は君が元気に生きる事を望んでいるはずだ」


「・・・・・」


「死のうとするのはやめるんだ」


返事をしない葵に厳しい顔を向ける。


「葵ちゃん」


「・・・また一人になっちゃった・・・・」


小さな声はまるで小さな子供のようだった。


家族を亡くし、その上最愛の紫月までもがいなくなってしまった。


自分は疫病神なのだろうか・・・。


自分を愛してくれる人は死んでしまう・・・。