葵を寝かせると屋敷の内線を使って使用人に車の中にある診察カバンを取ってくるように頼んだ。


自分が診察カバンを取りに行って再び手首を傷つけられたらかなわない。


すぐに使用人が榊の診察カバンを持ってきた。


その間、葵は目を瞑っていたが眠ってはいないようだった。


痛むはずなのに表情は変わらない。


榊はハンカチを外して傷口をみる。


血はたくさん出たように見えたが思ったより傷は深くなかった。


榊は必要な処置をしてから包帯を巻いた。