すごく幸せなお正月だった。


紫月のお休みも終わり、あたしの冬休みも終わってしまった。



* * * * *



「葵、明日からブラジルへ出張なんだ」


「えっ?明日から出張?」


葵が驚いて素っ頓狂な声を上げた。


「あぁ、10日間で帰ってくるよ 大丈夫かい?」


紫月が心配なのは葵の心と身体だ。


前回の出張の時に具合を悪くさせてしまった。


「うん、大丈夫だよ?心配しないで大丈夫だから」


前回無理に帰って来てもらった葵は強がりを言う。


「安心して行ってきてね ブラジルかぁ~ やっぱりコーヒー豆かなぁ お土産買ってきてね」


そう言うと紫月の首に腕を巻きつけ頬にキスをした。