紫月の選んだ振袖は真っ赤な地に色とりどりの花や御所車などの入った古典的な柄のものだった。


「これを着て初詣に出かけような」


「初詣?」


日本がはじめての葵は聞きなれない言葉ばっかりだ。


先ほどのキッチンでは料理長におせち料理の名前をたっぷり教わったばかりだ。


「年の初めに社寺にお参りするんだ 健康とか、安全、恋愛だったりな」


「そうなんだ~ 恋愛は大丈夫だから 紫月の健康をお願いするね」


にっこり微笑む。


「では俺は葵の健康をお祈りしよう」