迎えの車に恭臣も乗ってもらった。


後部座席に乗り込むと葵は目を閉じた。


(葵さん どうしたんだろう・・・・勉強のし過ぎって訳ではなさそうだ 顔色は悪いし、さっき触れた手は小刻みに震えていた)


隣にいる葵を恭臣は見つめた。


「・・・そんなに見ないで・・・」

目を閉じている葵が恭臣に言う。


「葵さん・・・・」


「大丈夫だから 心配しなくてもいいよ」

耳鳴りはずっとしているがそんなにひどくはない。


「お屋敷に着いたら眠るから」

葵が目を開けて恭臣を見て笑った。