「・・・」



ずっと葵を見ていて何も答えない。



「腕を出せよ 注射打っとくから 今倒れたら大変だろ」



京一郎が診察カバンから注射器を出す。



紫月は黙ってワイシャツをまくると腕を京一郎に出す。



「なにがあった?」



打ち終わると京一郎が聞く。



「家出されて帰って来られなくなっただけだ 朝早く悪かったな」



話はこれでおしまいというように紫月は立ち上がると部屋から出て行った。