「昨日、真屋 由布子さんと言う方が屋敷に来て葵さんを傷つけたんですよ」



恭臣がジェスチャーで葵の頬の傷の事を不機嫌そうに言った。



本当は怒鳴りつけたかった。



しかし彼は理事長で、家族の雇用主、下手な態度は取れない。



「真屋 由布子が?」



由布子の親と仕事で知り合い、彼女とはパーティーで何度かエスコートをした。



結婚を匂わせた事は一度も無かった。



ただ、パーティーに出席した事があるだけだ。