《京・翔 side》




伶「───…私が、そんなことできる人間だと、思ってる…?」



伶香が発した声は、震えていた。

その事に俯かせていた顔をあげれば、泣きそうに顔を歪めた伶香が立っていた。



それを見て、俺達は改めて痛感させられた。





…俺たちでは、伶香が深く堕ちてしまった闇から、救い出すことが出来ないのか。




───今の俺たちに、救い出す術はなく…ただただ堕ちていく伶香を見つめることしか出来ないのか。






伶香が退出した理事長室には、重い沈黙が佇んでいた。

俺ら2人は、なかなか口を開くことが出来なかった。