「…もし、もし」
私に電話をかけてきた相手。
それは、私が一番嫌いな奴からだった。
《着信あり》
《白河組 組長》
、いい加減、解放してほしいのに、な。
『…伶香。金龍の仕事が入った。
…今、どこにいる?』
「…学校、です」
『そうか。
なら、今からそっちに車を向かわす。裏門で待機しておけ』
「……わかりました」
通話終了のボタンを押すと、私は座り心地の良いソファから立ち上がった。
その時に見えた2人の顔は、どんよりと暗かった。
翔は唇を噛み締めていて。
──京は、持っていたグラスを握りすぎて割っていた。