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「ごちそうさま」
ありがとう、と素直にお礼を述べ、片付けたお弁当箱を翔に渡すと、
「ん、お粗末様。うまかったか?」
と翔は私に質問を投げかけた。
「もちろん。今日も最高だったよ、翔の料理。
……私は自分で作ったのと翔が作ってくれたのしか食べられないからね…」
私の言葉に、2人の顔は歪んでいく。
…悲しそうに、苦しそうに。
その顔から視線を逸らすため、私は窓から覗く青く、澄んだ空を見上げた。
……2人にそんな顔をさせてるのは私だけど、今は知らんふりをさせて。
まだ、私は乗り越えられていないから。
お願い。今は私の名前を呼ばないで。
呼ばれると…私の名前を呼んでいた、あの声を思い出してしまうから。
思い出して、涙が溢れてしまうから。