裏切り者として追い出したのは、あなたなのに、まだそんな顔するんですか。

昴には当然、そんなことは言えなかった。



黙っているふたりの間には、重い沈黙が佇む。

なぜだか気まずくて、その沈黙がさらに重い沈黙を作る。



その殻を破ったのは、蓮の一言だ。



蓮「…屋上、行くか」


昴「そうですね」



席を立った2人は、のんびりと屋上へ向かう。
その間2人が考えていたことは、ある人物のことだった。




蓮「………(黒野を見たら、どうしても伶香を思い出してしまうな…)」


昴「………(…僕の予想では、多分あの子は──)」



2人ともバラバラで、かつ同じ子のことを考えていた。