「まだ変装続けるの?」


「ははっ…どうだろうね…」


「ののか…」


心配そうな顔をして、私を見つめる。


ダメだな、私。親友にこんな顔させて。


ののかは優しいんだ。


困っていれば助けてくれるし、一緒になって悩んでくれる。


そんなゆずの優しさに甘えてる。


「ごめんね、ゆず」


「えっ、何が?」


「いつも迷惑かけてるし、ゆずに助けられてばっかりだし…」


「ごめんより、ありがとうがいいな」


ゆずは私の頬に手を伸ばした。


「迷惑だなんて思ってないよ。それに、ののかの本当の笑顔、まだ取り戻せてないもん。私はののかに幸せになってほしいの。変装も偽名も作り笑いも。全部やめて、ありのままのののかをみたい。それが私の夢なんだっ!」


ゆずは、そう言って無邪気な笑顔を私に向けた。


ゆずの言葉に思わず、一粒の涙がこぼれ落ちる。


そんな私の背中をそっとさすって、ゆずは笑った。


いつか、私もこんな笑顔になりたい。


そして今度は、私がゆずを幸せにしよう!


私はそう心に決め、ゆずを抱きしめた。