「ののかー!」


後ろの方からそう叫ぶ声が聞こえた。


振り向くと突然、誰かに抱きしめられた。


誰かって、私に抱きつく人なんて一人しかいないけど…


「ゆず…苦しい…」


「あーっ!ごめんっ!」


そう言って私から離れたのは、私の親友の
松崎 柚乃(まつざき ゆずの)。


私はゆず、って呼んでる。


ゆずはとっても可愛くて、妹みたいな存在。


モカブラウンのボブに、大きな瞳。
すきとおるような白い肌、ふっくらした唇に小柄な体型。


まさに天使って感じ。


ここでは住み込みのメイドとして働いてる。


「おっはよー!」


「おはよ、相変わらずテンション高いね」


「ののかこそ、相変わらず地味だねっ!」


「そうだね」


ゆずは、私の過去を知ってる数少ない人の内の一人。