わたしは気づけば病室の前にいた。
ここにハルはいるだよね。
スゥーー深く息を吸って。
コンコン... ノックをした。
「はい」
中かやハルの声がした。
恐る恐るドアを開けた。ハルは驚いた顔でこっちを向いていた。
「なんでお前がいんだよ」
「ユウトくんから」
ハル顔色悪いし、前に比べたらすごい痩せた。
「あいつ... もう帰れよ。俺はお前の事もう...」
「わたしは今でもハルが好きだよ?ハルごめん気づいてあげられなくて。」
「俺はもうお前の事好きじゃ...」
わたしはハルを強く抱きしめた。
「ハル会いたかったよ。ずっとずっと」
「サナ... 俺の事は忘れて他のやつのところに行ってくれお願い」
「無理だよ。わたしの幸せはハルが隣にいてくれる事なんだよ?」
「もう俺長くねえんだぞ?俺が死んだ後お前は俺を思っては泣く」
ハルは震えていた。
「それでもいい。わたしはただハルの側にいたいの。ハルがいいの!」
「サナ」
ハルはやっと抱きしめ返してくれた。
懐かしいこの感覚。
やっぱハルの腕の中は安心する。
「俺もずっとサナが好きだった。会いたかった。もう離さない。次は絶対離さねえから」
わたしまたハルのとこに戻ってこれたんだ。
わたし達はずっと2人で抱き合ったまま泣いていた。

わたしは毎日学校帰りにハルがいる病院に通っていた。
見るたびにハルは元気がなくなっていた。
ハルはいつも何も言わずに空を見上げていた。
わたしはそんなハルになんて声かけていいのか分からなかった。
そんなわたしにハルが、
「なあ、空ってすげー綺麗だよな」
「うん、今日の空すごい綺麗だね!」
今日の雲ひとつない綺麗な空だった。
「もし、おれが...もし俺が死んだら空を見て思い出しほしい。俺の事」
「わたしハルの事忘れないよ?ずっと忘れないから」
「俺さ、サナが隣にいない時はさ死ぬのなんて怖くなかった。でもサナがおれのとこほに戻ってきてから死ぬのが怖くなったんだよな。死にたくねーよ。俺サナとずっと一緒にいたい」
ハルは子供のように泣いていた。
「ハル。わたしはずっとハルの隣にいるよ。だから大丈夫」
わたしはこれくらいの言葉しか思いつかなかった。
「俺こんなに人好きになったのがサナが初めてだよ」
「わたしもだよ。ハルはわたしの最初で最後の好きな人だよ」
大丈夫。ハルは死なない。わたしはそう自分に言い聞かせることにした。