君に出会った奇跡

高校一年の冬、父の急な転勤がきっかけで私は転校し、今日から隣県の高校に通うことになった。

「行ってきます。」そう言って家を出た。


新しい学校は家から20分くらい歩けば着く距離にある。　
　　　　
学校に着き、私は職員室へ向かった。　　



コンコン。　校長室のドアをノックする。
「失礼します。」　


「おー。君が転校生の立川紡希さんだね。」　
「はい。本日から宜しくお願い致します。」
そう言って頭を下げる。

「こちらこそ。　じゃあ、早速クラスに行ってもらいます。　谷先生、来てください。」
校長が呼んだ谷先生らしき人が来た。

「谷先生、お話していた立川さんです。
担任宜しくお願いしますね。」　　


「はい、分かりました。　立川さん、担任の谷です。　宜しくお願いします。」
谷先生は深々と頭を下げた。

「初めまして。こちらこそ宜しくお願い致します。」と、私も返す。

「では、教室へ向かいましょう。」　
そう言われ、私は谷先生についていった。



ガラガラ。
「はーい、席着けー。　今日は転校生を紹介する。立川さん、入って。」


「え！？転校生？　どんな子だろ～」
ガヤガヤする教室に入っていく。

「わぁー！レベルたけー！」男子が騒ぐ。

「こら、静かにしろ。　じゃあ、自己紹介宜しくな。」

「初めまして。立川紡希です。宜しくお願いします。」　頭を下げる。

パチパチパチ。　拍手の音が聞こえた。


「じゃあ、立川は一番後ろのはじの席な。
皆、色々教えてやってくれ。仲良くだぞ。」

「はーい！」　

やっと席に着けた、と思い安心していたら前の席の人がグルッと私の方を向いた。


「うち、内山　架菜。宜しく、紡希！」
急に言われビックリしていると、
「あ～、ごめん！急に呼び捨てにして…。
ねぇ、紡希って呼んでもいい？」　

はっ！と我にかえり、「う、うん！　良いよ。宜しくね。内山さん！」と言った。

「マジ！？良かった～、じゃあうちの事も呼び捨てで呼んでね。」

「分かった！　じゃあ、架菜。」

「うんうん！」　
「架菜～、先輩が呼んでるよー！」クラスメイトが呼んだ。

「あ！　ごめん、紡希。また後で話しよーね！」

「うん、行ってらっしゃい。」　
そう言って架菜を見送った。


架菜が教室から出ていき、一人で窓の外を見ながら思った。
(架菜ちゃんか…。
友達がさっそくできて良かったな～。　
もっと仲良くなれるよう頑張ろ。)


ドキドキの一日が終わった。