「先輩。女の子に手をあげるのは、何があっても許されませんよ」



「お前か。あの窪とやらは」



男子はだんまりと、黙ってしまった。


チッと舌打ちをした、先輩は私を睨んでそのまま、校舎の中へ入っていった。


しばらく、ぼーっとしていたがハッと我にかえると、慌てて声を出した。



「あ、あの、助けてくれてありがとうございました。な、なにかお礼をさせてください」



お礼をさせてほしいと言うと、くすくす笑い出す男子。


何か変な事でも言ってしまった?と不安に思ってじっと背中を見ると、男子はくるりとこちらを見た。


その顔は、人間とは思えないほど綺麗に微笑んでいた。



「お礼をしてくれるって、言ったよね」



「は、い」



私が頷くと、彼は笑顔で言った。


これが、彼と私の出会いだ。



「僕の彼女になって」



そうして、彼は私に微笑んで、唇を奪った。