「あー、わかるー!」



なにが、わかるーなのか。


さっぱり、わからない。それに私は男ではない。



「どういうこと?」



「ふふ、あのね、朱莉みたいに、容姿端麗でしっかりしてて、何もかも完璧ででも優しい。そんな人がいいの。」



うんうんと、華も共感したみたいで頷く。


真知は私を過大評価している。


私は、優しくはない。それに、容姿端麗でもない。完璧なわけがないのに。



「朱莉が男子だったら、確実に好きになってたよ。」



真知が笑いながら言う。私の親友はやはり2人ともずれているみたいだ。



「真知が思うような、大層な…」



人じゃない。その言葉は出ることはなかった。


見てしまったのだ。


校則違反している、男子を。


学年カラーが青のことから、3年だと思われる。


すぐに、その男子の元へ向かう。



「先輩」



「ん、なに?」



振り向いた、先輩はやっぱり校則違反のピアスと髪を染めていた。



「生徒手帳の生徒の在り方の【第5条、身につけていいものはネックレス、腕輪のみである。髪を染めることやピアスは禁じる】とあります。間違いなく、貴方は校則違反です」