一頻(ひとしき)り泣いて落ち着いた二人はいつかの時みたいに、またお互いの顔を見て笑いあった。

ポンポンとリズムよく背中を撫でる千秋ちゃん。

「さやたんは、千秋もだけど柊くんも好きなんだね。」

そんな突拍子も無いことを突然言うものだから、驚いた私はフリーズしてしまう。「さやたーん。」と手を振りながら語りかける千秋ちゃんは、さも当然のように笑っていて、私が驚いた事首をかしげた。

「そ、そんなこと無いよ。」

「嘘つきさんはめっなんだよっ。私だって気づいてたもん。なんて…本当は天がね、きっと風深さんは気づいてないだろうからって教えてくれたんだ。私もその時まで知らなかったから、さやたんも同じ人好きだったのかぁ…なんて落ち込んだりもしたけど、今はねさやたんが柊くんを好きで嬉しい。私はさやたんと柊くんに小学校の時にできなかった仲直りをしてほしいから!」

「ま、待って千秋ちゃん。わ、私暮くんが本当に好きなの…?」

「え、違うの?」

「…好きってどういう感情の事か分からなくて。千秋ちゃんへの好きと同じだったら、暮くんに対しては違う気がするの。千秋ちゃんを考えるとね、凄く優しくなれる。でも暮くんの事を考えると…胸がぎゅってなって、怖くて、ただただ苦しくて。でも笑ってくれると嬉しくて、私だけに笑ってほしいって思っちゃう…そんな感情。こんなにドロドロが、恋なわけ…。」

「さやたん…。」

「やっぱり…私はまだ暮くんの事が怖いだけなんだと思う。」

「さやたん!それ好きってことだよ!」

「え…?」



.