『ねぇ、帰りカラオケ行かない?』

『期末の範囲広すぎだろ〜!あー、もう数学捨てたわ!』

思い思いのことを口にしながら
思い思いの仲間と教室を出ていく
級友たち。

級友、と言ったら語弊があるかもしれない。

友達なんかじゃないから。

「雨宮さーん」

妙に間延びした媚びるような口調で
名を呼ばれる。

「うちら、用事あるからさ。
国語のノートせんせぇに届けといて?」

「わかった」

「ありがとう〜!」

間延びした話し方をする女……
名前なんて覚えていない
派手な女は私の机にノートを置いて
教室を出ていった。