入学式からもう3週間。
なんとなく高校生活にも慣れてきて、心にも余裕が出来はじめた。真琴くんとは席が隣で、授業中や休み時間によく話す相手となった。

『それでね、今日のお母さん変だったの』

『変って!なんだそれ!wwww』

いつも通り、2人笑いながらメモで話していた。

(……あ、えくぼ)

柚奈は真琴の笑顔が好きになっていた。
1度だけえくぼが可愛いね
と冗談っぽく言った時、真琴はりんごのように顔を真っ赤にして照れていた。照れるなら、と言わないようにしているのだが、照れた顔も可愛いなと柚奈は思っていた。

(……あーこれ私多分恋してるなぁ)

最近思う様になっている事だ。
気がつけば目で追ってしまう。
きゅんと胸が苦しくなる時がある。

柚奈は人生初の恋心に気づき始めていた。




今日もあっという間に時間が過ぎ、お昼ご飯の時間がやってきた。
柚奈は、最近体育のペアになった、高柳 あかりと一緒にご飯を食べていた。

「えー!!うっそ!!あの先生、トイレのスリッパで歩いてたの?!」

「そうみたい!面白すぎだよね……!!私もそれを見た時涙出そうなくらい笑っちゃったもん!!」

最近仲良くなった高柳 あかりと一緒にご飯を食べながら今日の面白かったことや木になったことなど沢山話す。
あかりは、体育の授業中、ペアになり、知り合った子だ。
さらさらの黒髪ロングで、くりくりの目。
可愛いと美人を兼ね備えた、いわゆる“ずるい”存在だ。
仲良くなれると思っていなかった柚奈は、未だにあかりと話す時にニヤニヤが止まらなくなってしまう。

「さて、教室戻ろっか」

「お〜」

「ひゃっ」

ふいに吹いた風が持ち上げるスカートを抑える。
ふいに吹いた風は暖かく、そして懐かしい匂いがした。