——目、少し慣れてきたね。
——とにかく、助けがくるまで気長に待とう。
——うん……。


「え……」

どこかで聞いたような、台詞。

どこかで聞いたような、声。

——ごめん。みっともなくパニクっちゃって。
——オレはうれしかったけど。
——え?
——おかげで、こうして堂々と、奈央さんに触れられる。


これ……これって……!


これ、この前の、わたしと拓巳の会話……!!

エレベーターの中の!

「なんで……!?」

わたしは叫び出さないように必死で唇を噛んだ。
血の味が、かすかに口の中に広がっていく。

まさか……